理科離れと就職活動
理科離れと言われるようになったのはずいぶん前のことで、今もなお理科離れが進んでいるといいます。その当時の小学生は今大学生だったり会社に就職を始めた世代になっています。
理科離れが進む原因の一つは、ハイテクでありながらハイテクとはわからない素晴らしい品物に囲まれ、苦労せずとも情報も物も友達の輪も手に入るようになったことがあると思っています。
私は高周波電子技術者サラリーマンですが、毎年配属されてくる新卒社員が年を追うごとに電気のこともインターネットのこともパソコンのことも携帯のことも、ホント感心するほどよく知っていると思うようになりました。ところが最先端の技術に携わらせると途端に弱音・弱音・弱音。大学では聞いたことも無いといって業務を拒否しようとする、配置転換を望むなど想像を絶する態度にでる社員もいるほどです。
話を聞くと「やっと入った会社だし、辞めたくはないけいど高周波技術はそんなに好きでもないし自分の時間を大切にしたい」などと言ってのけるわけです。好きな仕事であればやるのかと思うとそうでもなく、そもそも仕事に重きをおけない人種だということが徐々に分かってきました。
理科離れというのも理科が嫌いなのではなく、考えること自体が面倒臭い…それが理科とか数学では表面に顕著に出てしまう科目ということなのでしょう。
いずれにしても身近にいる若い社員は電気が好きでたまらない、家に帰っても電子工作をしたりアマチュア無線に没頭するという人物は見当たらなくなりました…以前は10人に一人はそういう社員が配属されてきました。IT産業は目覚ましい発展を遂げていますが、それはソフト面でありサービス事業での話…それを支えるハードの分野では技術者が極端に不足しているのを肌で感じています。
どこかの人がアマチュア無線は周波数を明け渡して規模を縮小すべきだというのを前にみたことがあります。どうなのでしょう…私はそうは思っていません。世の中のインフラ整備のために周波数が不足していると言われていますが、不足しているのではなく、有効に利用できるような技術開発ができる・考える高周波技術者が不足しているからではないかと…。
自分の携わっている技術は最終的にはインテルの最新CPUを作り、東芝の最新のメモリを製造するための高周波技術であり、アマチュア無線では当たり前の「リニアアンプ」の技術ですが、アマチュア無線で使われる、それも自作の対象にもなっている「リニアアンプ」の技術が産業用にかたちを変えて貢献しています。そして今後もそれは続きます。
理科離れから少し逸れていますが、アマチュア無線は電話ごっこだけでなく、個人が趣味で作った送信機や前述のリニアアンプを試すことのできる唯一の手段であり趣味です。自作を積極的にやらなくても、トランシーバーやアンテナをつないで、動かし、うまく動作しなければ自分で工夫する…高周波を肌で感じることのできる趣味です。原始的にも見えるアマチュア無線…これが半導体の最新技術に直結しているということはあまり知られていません。
現在会社では高周波技術者の中途採用者を募っていますが、条件の一つは「アマチュア無線を本気でやっていた、あるいはやっている」としていますが、ヒットする人材はめったに現れません。高周波技術者が極端に少ないこの状況を打開するためにもぜひともアマチュア無線を通して理科離れを防ぎ、高周波技術者の卵をたくさん育成できるようになってほしいと思っています。このままでは極論かもしれませんが半導体分野のmade in JAPANは厳しくなると思っています。
ちなみに工業大学でゼミをもっている弟も、同じようなことをぼやいていました。専門こそ高周波ではありませんが、ゼミの学生は前述の人種だけになってしまったそうです。就職に有利、論文テーマがわかりやすい?!が、そのゼミを選択した理由だそうで、心底その分野の勉強がしたいという人物は少し前は一人二人はいたそうですが、今は「ゼロ」だそうです。…この世代も磨きのかかった理科離れ世代で、就職予備軍だと思うと恐ろしいと感じてしまいます。
